夏のホットスポット★息子キャップが推しメンのタイのレストラン
確かにそれはコンドームだった。
コンドームといえば、ある一定の年齢になり、それなりの経験をした者なら手にする、あの避妊を手助けするゴム製の息子キャップ。
その存在が明らかになっているとはいえ、それ自体を異性の友人の前で出すのは憚れるもの。
しかし、タイを訪ねたとき、私の中で培われたそれなりの奥ゆかしさは粉砕した。
紹介されたレストランの看板には、堂々と擬人化された息子キャップが描かれていたのだ。
「CABBAGES&CONDOMS」
長い夜が始まりそうだ。
【息子キャップは突然に】
看板のところから通路を抜け、レストランに向かう途中、シャレオツな照明があるなとふと見上げると
やつだ。
照明の周りに、びっしりと貼り付けられている。
その荒々しい形状と斬新な使い方に、心を打たれる。
第二次性徴時に、原宿の交差点のアダルトショップを初めて見つけたときの恥じらいと好奇心が蘇る。
とはいえ30という次のステージに進んだ、大人の私。
幾多の棒と対峙してきたこの身で、まさかゴム製のキャップごときに心を踊らされるなんてことは・・・
私の私が卍解しないように気を付けなければと、心に決めた。
しかし、レストランのドアを抜けた瞬間に全てを悟った。
「あ、これ保険体育的なやつだ」
ゴムゴムの衣を纏った人形を見て、私の中で何かがしぼんだ。
【割とまじめだったコンドーム啓蒙施設】
ネタばらしをしてしまうと、このレストランのオーナーの方はミスター・コンドームと言われ、30年前に初めてタイでコンドームの使用を国民に啓蒙した方とのこと。
タイの人口コントロールから始まり、レストラン、宿泊施設と、コンドームの啓蒙を謳った施設を経営。
やがて、タイ最大のNGO組織、社会開発財団まで発展し、今では農村部の開発や、女性の権利尊重、AIDS教育など、その活動域は幅広い。
しかし、何故こんなにファンシーな装飾にまで進化してしまったのだろうか。
飾られている花もゴム製だし、ポスターもよく集めたなというくらいにコンドーム・オンリーだ。
グッズ販売でも収益を上げているらしい。
早すぎる性教育は、長年にわたる啓蒙活動の結果なのだろうか。
【ゲシュタルト崩壊後の追いの一手】
正直、出落ち感満載だが、提供している食事は普通に美味しい。
サテ(タイの焼き鳥)や諸々の料理もなかなか。
肉欲を刺激するだろうキャップに囲まれて、料理を楽しむことができるのかと不安ではあった。
しかし、どこを向いてもそれが視界に入るため、見事息子キャップはゲシュタルト崩壊を果たし、保健体育の微エロから、NOエロへと溜飲を下げたのだ。
しかし、彼らの魔の手は最後まで続く。
食欲を満たして帰ろうとする私たちに、スタッフの人が声をかける。
「お土産にどうぞ」
なんとコンドームを無料で配っているのだ。
そしてそれらが入っている箱の文字に、目が引き付けられる。
ミリタリーサイズ?コスモポリタンサイズ?そしてクーデターサイズだと?
もう中身を想像せざるを得ない。まさかの4サイズ展開とは。
しかし、どれがXLなのかわからん。やはりクーデターなのだろうか?
悶々とさせられながらも、とりあえず全種類を懐に入れ、日本へと帰路に着くことになった。
次ここに訪れるときは、彼氏と一緒に「もーやーだー」とかキャッキャはしゃぎながら、実に結び付けたい・・・
後日談
持ち帰ったキャップたちは、好奇心のみで全部開封しましたが、全部同じサイズというがっかりのオチ。
しかし開封したときに漂ったバナナの香りに、例えるものは世界標準なんだなと安堵しました。
更新した後に気付いたのですが、こちらのお店が京都に支店を出しておりました。
気になった方はぜひこちらへ!