30歳女独り駆け抜けたバガン遺跡群 後半戦:「急がば周れ」を噛みしめる
こんにちは、ゆきびっちです。
朝10時から夕方17時 計7時間の自転車旅の後の私。 眉毛が落ちてなかった奇跡。
前回、バガン自転車旅行の前半の続きをお話したいと思います。
前回ご紹介したバガンタワーからニャウンウーに向かうとき、「近道がある!」と思ってマップに掲載されていたこの道を通行しました。
このオレンジの線のところです。普通だったら、バガンタワーからまっすぐ大通りに出てV字状にニャウンウーに向かうのですが。
まじでそれが大失敗。
マップでこんなに大きく書かれているんだから、舗装されているだろうと思ったら大間違い。
普通の道がこちら。中央線はないけど、舗装はされている。
なにこの道。
人工的な音が一切しない。
鳥と虫の音ってこんなに響くんですね。
どんどん道幅が狭くなる。
前から地元民しか来ないし、すれ違う度に強面のおっさんたちが「このこ大丈夫かしら?」と言わんばかりに何度もチラ見してくる。ちなみに後ろから追従する者は一切いない。
そして足元が細かな土砂のため、自転車のタイヤが埋まって走行できない。
まさかのここで自転車手押し発生。
一応一本道なんだけど、何の目印もなくてどこをどう歩いているのか分からないのに、追い打ちをかけるかのように、道がうねっているから方向感覚が完全にぶれる。
そしてとうとう人も途切れる。
完全迷子になる前に引き返そうかと迷っているとき。
空から仏の声が聞こえました。
いえ、あちらの世界に旅立ったわけではなく。
おそらく近隣にある民家で説法のラジオ放送を流していたらしく、それが聞こえてきたのです。
人がいる!ってことで大歓喜して、そのまま歩を進めたのですが。
いくら歩いてもそれらしき村というか民家が見えてこない。
どうやらあまりにも周囲に音波の障害壁がないために、山頂のやまびこよろしく、遠くの村から音が流れてきていたらしい。
軽く絶望しながらも、道なき道を越えて30分強、なんとか人が飼っているだろう鶏と牛の姿を目で捕捉し、舗装された道路までたどり着くことができました。
ラスト20分強はついに人の姿を見ることはありませんでした。
ってことでこのルートはガイドマップに載せないほうがいいですよ、るるぶさん。
さて、ちょっと精神的に疲弊した私ですが、舗装された道路の感触に歓喜しながら観光を進めます。
<Shwezigon Pagoda シェズィーゴン・パゴダ>
ニャウンウーにある金ぴかの寺院。
ヤンゴンよりも小さい約40mの高さの仏塔。
はしゃぐ観光客を隠し撮り。
スマホで撮りながらはしゃぐ若い僧たち。
しかし、ここでミスをする。
事前の迷子で完全に動揺して心身ともに疲れ切っていたため、ガイドブックに掲載されていた観光要所を見忘れる。
ということで、木彫りのジャータカ(仏の前世の姿を描いた木彫りのもの)はこちらのブログさんに写真がありましたのでご覧くださいませ。
シュエズィーゴン・パゴダ - 一条真也の新ハートフル・ブログ
<Ananda Temple アーナンダ寺院>
オールドバガンにあるアーナンダ寺院。
本堂の四方に向いたブッダ=過去四仏が有名とのこと。
ちなみに過去四仏について、日本では余り見られないものなのでちょっと解説します。
手塚治虫先生の「ブッダ」や、「聖☆おにいさん」に出てくるブッダは、ゴータマ(・シッダールダ・)ブッダといわれる仏教開祖の人です。しかしそれ以前に存在し人々に教えを説いていたとされるのが、三仏(クラクッチャンダ・カナカムニ・カシャパ。そこにゴータマを合わせて過去四仏というらしい。何故過去四仏を祭るかというと、仏教はゴータマ一人による開祖ではなく、以前の3人が功徳を積んだからこそできたものとされるから。です。
通路にはシッダールダの人生を描いた「仏伝図」のレリーフがあります。
大体絵で表現されていることが多いので、レリーフは貴重。
しかし、教会でのキリストの一生ならわかるものの、シッダールダはまじわからん!ミャンマーに行く前に、手塚治虫先生の「ブッダ」を読んだほうが私の数百倍楽しめると思います。
<Manuha Temple マヌーハ寺院>
とりあえず狭い寺院内に窮屈に仏像が収まってる寺院。
ブッダの膝と壁の間は最短20cmくらいしかない。
本堂の裏側にいる寝釈迦像。ここも狭い。
どうやらここを建立したタトゥン国のマヌーハ王は、バガン王国に戦争で敗れて捕虜にされたらしい。この窮屈な仏像たちは、マヌーハ王の精神状態を表しているということですが。
後世にまで残すほど?とびっくりしてしまいます。
<Nan Paya ナン・パヤー>
先ほどのマヌーハ王が幽閉されていたという寺院。
中は狭い、暗い、しかしここのレリーフは必見。
ヒンドゥーのブラフマー神が描かれているというが、何故上座部仏教でヒンドゥーが出てくるかは謎。ちなみにマヌーハ王はモン族だが、その宗教も同じ上座部仏教だったから本当に謎。
<Abeyadena Temple アベヤダナ寺院>
ここも鮮明なフレスコ画が多かったのですが、堂内は撮影禁止。
また、ほとんど外光が入ってこないため、懐中電灯もしくはスマホのライトを利用して鑑賞してください。
さて途中心が折れてしまったので、見ようと思っていたスラマニ寺院は諦めましたが、なんとか10か所を拝観することができました。
ちなみにですが、ミャンマーのほとんどの地域には信号や横断歩道がありません。気を付けましょう。
というか信号はヤンゴン市内でしか見ていません。横断歩道は皆無です。
まぁそっちのほうが自転車では走りやすかったので結果オーライですが。
そしてバガン地域はほぼ大きな道路で一直線で町をつないでいるので、道路標識もほぼない。
マップには道の名前が書いてあっても、それを示す標識はない。
ごくたまに見かけるが、ざっくり具合がこれで分かると思います。破れてるし。
ごくたまにある現在地を知らせる看板は、NAGATAさんという日本人によって設置されたもの。
ありがとうございました、NAGATAさん!!でも今後のためにはもうちょっと増やしてほしいです!
有名な寺院には看板があったりしますが、それを目印にあとはひたすら距離感と勘で進むしかありません。
今回の走行距離はざっくり26㎞(途中何度か迷子になったため走距離が伸びた)。
良い運動になりました。
ラスト20㎞はサドル型に股間が痛くなって痔になるんじゃないかとヒヤヒヤ。痛みは3日間くらい続きました。嫁入り前のオンナノコなのに!!
ということで私は計らずとも自転車苦行に身を投じ、日本では味わえないような貴重な体験をして一皮剥けることができました。
リアル版ドラゴンクエスト気分でなんだかんだかなり楽しかったのですが、
できればそれなりの運動神経が備わっている方だったらスクーター、もしくは財をかけて馬車か車をチャーターしたほうが大人の旅にはぴったりかと思われます。
観光だけでは物足りないという方、非日常的な冒険をしたい方、ミャンマーの歴史を地理を肌で感じたい方には自転車旅はおススメです。
それでは次回は神秘的な仏塔群カックーをレポートしたいと思います。お楽しみに。
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